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上場会社向けナビゲーションシステム​ >自主規制 >上場会社に対する自主規制の概要

自主規制概要 上場会社に対する自主規制の概要

目次
1.総 説
2.会社情報の開示に係る審査の概要
3.実効性の確保に関する処分又は措置の概要
4.プリンシプル・ベースのアプローチ
5.公認会計士等に事情説明を求める場合の協力義務
6.有価証券の売買等の審査
    1.総 説

    金融商品取引所における自主規制業務は、会社の上場に際し財務や経営の健全性等を審査する「上場審査」、上場廃止基準への該当性の審査等を行う「上場管理」、当取引所市場における売買の執行及び決済の担い手である取引参加者の健全性・信頼性を確保するための「考査」及び相場操縦や内部者取引等の不公正取引を監視する「売買審査」から構成されています。

    日本取引所グループでは、その傘下に、金融商品取引所の市場運営会社である東証及び株式会社大阪取引所と、自主規制業務を行う自主規制法人を設ける組織体制をとっています。これは、金融商品取引所の自主規制業務を両取引所から独立した自主規制法人が遂行することで、自主規制機能の独立性を強化すると共に、持株会社を活用することで市場運営会社と自主規制法人の適切な連携による自主規制機能の実効性確保を図ることを目的としています。

    市場運営会社である東証は、自主規制法人に委託した業務を除く取引所金融商品市場の開設に係る業務全般を行っており、その上場部においては、上場制度、開示制度の企画立案に加え、上場会社との窓口として各種の相談対応・助言、変更上場等の上場有価証券に関する諸手続などを行っています。

    一方で、上場管理に関わる自主規制業務については、東証から自主規制法人が受託し上場管理部が実施します。

    具体的には、

    ① 上場規程第2編第4章第2節の規定に基づく会社情報の開示に係る審査

    ② 上場規程第2編第4章第4節の規定に基づく企業行動規範の遵守に係る審査

    ③ 上場規程第2編第5章の規定に基づく、上場契約違約金の徴求、公表措置、改善報告書・改善状況報告書の徴求、特別注意銘柄への指定などの実効性の確保に関わる審査

    ④ 上場規程第2編第6章の規定に基づく、不適当な合併等、虚偽記載又は不適正意見等、上場契約違反、株主の権利の不当な制限、公益又は投資者保護などの基準による上場廃止審査

    等が挙げられます。

    東証上場部は、自主規制法人上場管理部が行うこれらの審査等の結果に基づき、上場廃止や上場会社に対する処分その他の措置等を行うこととなります。

    このほか、東証では、東証市場における有価証券の売買等の公正の確保を図るための調査を自主規制法人に委託しており、それに基づき、自主規制法人売買審査部において、内部者取引をはじめとする法令諸規則に違反する取引行為に係る売買審査を行っています。


    〔日本取引所自主規制法人 法人概要〕


    名 称 : 日本取引所自主規制法人

    (英文名 : Japan Exchange Regulation


    住 所 : 〒103-8229 東京都中央区日本橋兜町2-1

    電 話 : 0336660431(代表)


    2.会社情報の開示に係る審査の概要

    上場規程第2編第4章第2節の規定に基づく会社情報の開示に係る審査は、上場会社における会社情報の開示の適正性を確保することを目的とし、その適正性を確保するために必要かつ適当と認めるときに行うこととしており、重要な会社情報の開示について次の(1)から(5)までに掲げる観点から行うこととしています。


    (1)開示の時期が適切か否か。

    (2)開示された情報の内容が虚偽でないかどうか。

    (3)開示された情報に投資判断上重要と認められる情報が欠けていないかどうか。

    (4)開示された情報が投資判断上誤解を生じせしめるものでないかどうか。

    (5)その他開示の適正性に欠けていないかどうか。


    【上場管理等に関するガイドラインⅡ 2.】

    なお、上場会社に対し、東証が必要と認めて上場会社に照会を行った場合には、直ちに照会事項について正確に報告することが義務付けられており、さらに、東証が報告のため必要と認める場合には、会社情報に関して必要な調査及び調査結果の東証への報告を行うことが義務付けられています(*)。また、東証から自主規制業務の委託を受けた自主規制法人も同様に照会を行うこととなります。上場会社は東証から求められた場合と同様に、自主規制法人からの照会についても直ちに照会事項について正確に報告することが義務付けられています。


    (*)「東証が報告のため必要と認めるとき」とは、会社情報に関する照会に対する東証への報告にあたって、会計不正等の疑義が生じた場合において調査を実施していない場合や、調査を実施しているものの、調査の範囲や体制が不十分な場合等を想定しています。また、「必要な調査」については個社の状況によって異なるものの、一般的には「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」や日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を参考とすることを想定しています。

    【上場規程第415条第1項及び第2項、第3条第2項】

    3.実効性の確保に関する処分又は措置の概要

    上場規程では、その実効性を確保するため、上場規程の違反行為などに対して、特別注意銘柄への指定や、改善報告書・改善状況報告書の提出、公表措置や上場契約違約金の徴求などの措置を講ずることができることを定めています。


    〔実効性を確保するための措置〕

    ○ペナルティー的措置

    ・公表措置

    ・上場契約違約金

    ○改善措置

    ・改善報告書・改善状況報告書

    ・特別注意銘柄への指定


    各措置の概要については
    こちら
    をご参照ください。

    4.プリンシプル・ベースのアプローチ

    資本市場を取り巻く環境が日々変化する中、取引所が的確な対応を行っていくためには、必要に応じてルールの見直しを行っていくことが重要ではありますが、いかにルールを見直しても、対応し難い事案が現れます。

    自主規制法人は、このような事案に柔軟に対処するために、ルール・ベースのアプローチに加えて、プリンシプル・ベースのアプローチを組み合わせることが有効であると考え、「エクイティ・ファイナンスのプリンシプル」「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」を策定しています。

    ここで言うプリンシプル・ベースのアプローチとは、上場会社や市場関係者が、尊重すべき原理・原則(プリンシプル)を確認し、共有することで、各々がその持ち場に即した規範意識を働かせ、自主的に行動していくことにより、資本市場全体の質的向上の実現を目指すことです。

    各プリンシプルの内容については、日本取引所グループウェブサイトを参照してください。



    ○エクイティ・ファイナンスのプリンシプル

    URL https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/equity-finance/index.html


    ○上場会社における不祥事対応のプリンシプル

    URL https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/principle/index.html


    ○上場会社における不祥事予防のプリンシプル

    URL https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/preventive-principles/index.html


        

    5.公認会計士等に事情説明を求める場合の協力義務

    東証では、実効性確保措置(例えば特別注意銘柄への指定)に係る審査又は上場廃止に係る該当性(例えば虚偽記載等)の判断において必要と認めた場合には、財務諸表等若しくは中間財務諸表等の監査証明等又は四半期財務諸表等の期中レビューを行う公認会計士等(当該公認会計士等であった者を含む。)に対して、事情説明等を求める場合があります。このような場合においては、当該上場会社は公認会計士等が東証に対し事情説明がしやすいよう協力することが義務付けられています。

    【上場規程第511条第1項、第604条第1項】


    また、東証から自主規制業務の委託を受けた自主規制法人も同様に事情説明等を求めることがあります。上場会社は東証から求められた場合と同様に、自主規制法人の事情説明等の求めに協力することが義務付けられています。

    【上場規程第3条第2項】


    なお、上記事情説明等を公認会計士等に求める場合には、当該上場会社は、当該公認会計士等が事情説明等に応じることについて同意する旨を記載した書面を速やかに東証に提出することが義務付けられています。

    【上場規程第511条第2項、第604条第2項】


    ※ 上場会社が上記同意書の提出を拒んだり、遅延させた場合には上場規程第601条第1項第10号(上場契約違反等)に該当するおそれがありますのでご注意ください。


    6.有価証券の売買等の審査

    東証では、上場に関わる自主規制業務のほかにも、その開設する金融商品市場における有価証券の売買等の公正の確保を図るための調査に係る自主規制業務を自主規制法人に委託しており、それに基づき、自主規制法人(売買審査部)では、内部者取引をはじめとする法令諸規則に違反する取引行為に係る売買審査を行っています。


    (1)会社情報の公表に至る経緯に関する報告義務

    自主規制法人(売買審査部)では、東証から委託を受けた自主規制業務として、有価証券の売買等の公正の確保を図るための調査のため必要があると認める場合には、上場会社に対し、会社情報の発生から公表に至る経緯等について照会を行います。

    【自主規制法人業務規程第16条第2項】


    上場会社は、自主規制業務を受託する自主規制法人が、有価証券の売買等の公正の確保を図るための調査のため必要があると認めて、会社情報の発生から公表に至る経緯等について照会を行った場合を含め、上場株券等の売買管理上必要と認めて照会を行った場合については、照会事項について正確に報告することが義務付けられています。

    【上場規程第415条第5項第1号、第3条第2項】


    また、上場会社は、有価証券の売買等の公正の確保を図るため、他の取引所からの情報提供の要請を受けて当取引所が会社情報の発生から公表に至る経緯等について照会を行った場合は、直ちに照会事項について当取引所に報告することが義務付けられています。

    【上場規程第415条第5項第2号】


    (2)上場会社に対する注意喚起

    自主規制法人(売買審査部)は、有価証券の売買等の審査の結果、上場会社の行為が法令に違反する行為若しくは法令に違反する行為に該当するおそれのある行為であると認めたときや、会社情報に係る不公正取引の防止のための社内体制(*)が十分でないと認めた場合において必要があると認めたときは、当該上場会社に通告し、注意喚起等を行います。

    (*)上場規程第449条に定める「役員、代理人、使用人その他の従業者による内部者取引等の未然防止に向けて必要な体制」を含みます。

    【自主規制法人業務規程第18条第1項】


    また、この注意喚起を行った場合において必要があると認めたときは、上場会社に対し、改善措置等について文書による報告を求めることとしています。

    【自主規制法人業務規程第18条第2項】


    管理番号
    6861

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