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上場会社向けナビゲーションシステム​ >自主規制 >不適当合併等(上場会社が実質的存続性を喪失する合併等)に係る上場廃止審査の概要

不適当合併等 不適当合併等(上場会社が実質的存続性を喪失する合併等)に係る上場廃止審査の概要

目次
  • 1.概 要
  • 2.審査の流れ
  • (参考)実質的存続性審査に係る軽微基準の概要
  • (参考)実質的存続性審査に係る詳細審査の概要
1.概 要

 次に掲げる行為(以下、本項目において「吸収合併等」という。)は、不適当合併等(上場会社が実質的

存続性を喪失する吸収合併等)に係る上場廃止審査の対象となりますので、十分に留意してください。


イ.非上場会社の吸収合併

ロ.非上場会社を完全子会社とする株式交換
ハ.非上場会社を子会社とする株式交付

.会社分割による非上場会社からの事業の承継

.非上場会社からの事業の譲受け

.会社分割による他の者への事業の承継

.他の者への事業の譲渡

.非上場会社との業務上の提携

.第三者割当による株式の割当て

ヌ.その他上記と同等の効果をもたらすと認められる行為

                            【施行規則第601条第5項第1号】



東証の上場規程では、いわゆる裏口上場の防止を目的として、上場会社が非上場会社と吸収合併等を行った結果、上場会社が実質的な存続会社でないと認められ、かつ、一定期間内に新規上場審査の基準に準じた基準に適合しない場合には上場廃止となることが定められています。

【上場規程第601条第1項5号】


(注)「実質的な存続会社」の判断は、当事会社の経営成績及び財政状態、役員構成及び経営管理組織(事業所の所在地を含む。)、株主構成、商号又は名称、その他当該行為により上場会社に大きな影響を及ぼすと認められる事項を総合的に勘案して行うもので、概して規模の大小等これらの優位性の比較を行うものです。したがいまして、当事会社の事業内容や事業の継続性に関して何らかの判断をするものではありません。


そこで、上場会社が吸収合併等を行う場合には、不適当合併等(上場会社が実質的存続性を喪失する吸収合併等)に係る上場廃止審査を行うこととなります。


具体的には、まず、上場会社が吸収合併等を行う場合(原則として、適時開示が必要なものを行う場合をいう。)には(通常は吸収合併等についての決定の前の時点で)、当該行為を踏まえた上場会社の実質的存続性の審査(確認)を行います。そして、実質的存続性審査の結果、上場会社が実質的な存続会社でないと東証が認めた場合には、吸収合併等を行った日以後最初に終了する事業年度の末日から3年を経過する日(当該3年を経過する日が当該上場会社の事業年度の末日に当たらない場合は、当該3年を経過する日の直前に終了する事業年度の末日)までの期間に、新規上場審査の基準に準じた基準に適合しないときは、上場廃止となります。


(注1)実質的存続性審査に係る軽微基準について

東証では、実質的存続性審査において、裏口上場防止の観点から一般に問題があるとは考えにくい態様を「軽微基準」として明示し(「(参考)実質的存続性審査に係る軽微基準の概要」参照。)、吸収合併等が軽微基準に該当する場合は実質的存続性があるものとして取り扱い、該当しない場合には、さらに詳細な審査を行うこととしています。これにより、実質的存続性審査を簡便にするとともに、上場会社において、明らかに実質的存続性審査において問題とならない行為であるかどうかを事前にわかるようにしています。

(注2)猶予期間について

吸収合併等を行った日から、当該日以後最初に終了する事業年度の末日から3年を経過する日(当該3年を経過する日が当該上場会社の事業年度の末日に当たらない場合は、当該3年を経過する日の直前に終了する事業年度の末日)までの間は、「猶予期間」としています(この間は、監理銘柄指定は行いません。)。また、猶予期間の最終日までに、新規上場審査の基準に準じた基準に適合しているかどうかが確認できていない場合は、その翌日から監理銘柄(確認中)に指定することとなります。


※ 詳細については、後述の「審査の流れ」を参照してください。

※ 会社が上場規程第208条第1号(合併による解散の場合の取扱い)、第3号(株式交換、株式移転等による完全子会社化等の場合の取扱い)又は第5号(会社分割による他の者への上場契約の承継の場合の取扱い)の適用を受けて上場する場合(新設合併、株式移転又は新設分割をする場合における当事者がすべて上場会社である場合を除く。)についても、概ね同様の扱いとなりますので、留意してください。

なお、三角組織再編に伴い、上場規程第208条の規定の適用を受けて上場する場合で、実質的存続性がないと見込まれる場合には、同条に係る新規上場申請の際に、猶予期間における企業の継続性及び収益性に関する見込み並びに当該期間内に新規上場審査の基準に準じた基準に適合するよう努める旨について記載した書面の提出が必要となります(当該新規上場申請者が、新規上場審査の基準に準じた基準に適合する見込みがある場合を除く。)ので、留意してください。

※ 
上場会社が他の市場区分に上場している上場会社と吸収合併等を行った場合についても、概ね同様の扱いとなりますので、留意してください。この場合、「非上場会社」とあるのは「他の市場区分に上場している上場会社」と読み替えます。

2.審査の流れ

(1)吸収合併等の決定・適時開示の2週間前まで

上場会社が吸収合併等を行う場合(原則として、適時開示が必要なものを行う場合をいう。)は、実質的存続性審査の対象となります。この場合には、上場会社における円滑な吸収合併等の実行及び投資者への適切な情報提供の観点からは吸収合併等の決定・適時開示までに実質的存続性審査の結論が出ていることが望まれるものと考えられますので、吸収合併等の決定・適時開示を行う2週間前までに、東証の上場会社担当者まで開示資料(案)をメールにてご送付ください。

 

※ 上記は案件等の内容が特別の考慮を要するものではないことなどを前提としており、実質的存続性審査が2週間以内に終了することを保証するものではありませんので、あらかじめ留意してください。

※ 早期に事前相談を行う場合で、開示資料(案)の用意がない場合は、当該吸収合併等の内容を記載した書面をご送付ください。なお、この場合も、遅くとも、吸収合併等の決定・適時開示を行う2週間前までには、開示資料(案)をメールにてご送付ください。

※ 案件等の内容に応じて、審査に必要な資料の提出や報告・説明等を求めることがあります。


(2)吸収合併等を適時開示した時点

実質的存続性審査が終了し、上場会社が実質的な存続会社でないと認められると判断した場合は、吸収合併等を適時開示した時点で、「吸収合併等の実行時点から「新規上場審査に準じた審査を受けるための猶予期間」に入る可能性がある」旨を、日本取引所グループウェブサイトに掲載するなど、投資者への周知を図ることとしています。


※ 吸収合併等の適時開示を行った時点で実質的存続性審査が終了していない場合においては、適時開示の後、実質的存続性審査が終了した時点で、上場会社が実質的な存続会社でないと認められると判断した場合に同様に周知を図ることとなります。



(3)吸収合併等の実行時点

吸収合併等の実行時点で「新規上場審査に準じた審査を受けるための猶予期間」に入ったこと及び猶予期間を日本取引所グループウェブサイトに掲載するなど、投資者への周知を図ることとしています。


※ 吸収合併等の実行時点とは、合併の場合は合併期日、事業譲渡や業務提携については譲渡日や業務提携日を指します。

※ 猶予期間内において新たにM&Aの実行等をしても、原則として猶予期間の変更はありません。



(4)猶予期間終了時点

新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査は、上場会社からの申請に基づき実施することになります。

猶予期間の最終日(吸収合併等を行った日以後最初に終了する事業年度の末日から3年を経過する日(当該3年を経過する日が当該上場会社の事業年度の末日に当たらない場合は、当該3年を経過する日の直前に終了する事業年度の末日))までに、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかが確認できていない場合は、その翌日から監理銘柄(確認中)に指定することとなります。


※ 新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査は、猶予期間が終了した後、最初の有価証券報告書の提出日から起算して8日目(休業日を除く。)の日までに、当該上場会社が申請することにより受けることができます(当該審査には、審査料が必要となります。)。

新規上場審査と同様に、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査の標準審査期間は、プライム市場又はスタンダード市場について3か月、グロース市場について2か月です。申請後、標準審査期間内に審査が終了しなかった場合には、当該申請日から起算して1年以内に限り、当該申請は有効とされ、審査が継続されます。ただし、猶予期間の最終日までに、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかが確認できておらず、監理銘柄(確認中)に指定された場合には、当該申請に係る審査については標準審査期間が満了した時点で終了となることがあります。
 なお、一度申請を行い、当該申請においては新規上場審査基準に準じた基準に適合していないとの審査結果となった場合であっても、期限内であれば、改めて申請を行うことができます(再申請にあたっては、前回の審査で問題となった事項が改善されているかどうかを十分にご確認ください。)

※ 猶予期間内に当該審査の結果、新規上場審査基準に準じた基準に適合していると判断された場合は、その時点で猶予期間を解除する旨を日本取引所グループウェブサイトに掲載するなど、投資者への周知を図ることとしています。

※ 上場会社が市場区分の変更を希望する場合には、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査の申請にあわせて、市場区分の変更申請を行うことも可能です。この場合において、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査は、上場会社が現に属する市場区分ではなく、市場区分の変更申請において変更先としている市場区分の新規上場審査基準に準じた基準に基づき、受けることができます。なお、上場会社がこれらの審査の申請を行い、基準に適合していると判断された場合には、東証は原則として市場区分変更日に猶予期間を解除するものとし、その旨を市場区分変更承認日に予め公表します。

 


(5)猶予期間終了後、有価証券報告書提出日から起算して8日経過時点

猶予期間が終了した後、最初の有価証券報告書の提出日から起算して8日目(休業日を除外する。)の日までに、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査に係る申請を上場会社が行わない場合は、上場廃止となる銘柄として整理銘柄に指定することとなります。

なお、この時点において新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査の継続中である場合は監理銘柄(確認中)の指定を継続し、引き続き審査を行うこととなります。

(参考)実質的存続性審査に係る軽微基準の概要

以下の軽微基準に該当する場合には、実質的存続性があるものとして取り扱うこととしています。


行為の内容

軽微基準

備  考

1.非上場会社の吸収合併、非上場会社を完全子会社とする株式交換又は非上場会社を子会社とする株式交付


● 同等の効果をもたらすと認められる行為を含む。(※1)

次のいずれかに該当すること。


(1)当該非上場会社が連結子会社であること。

ただし、当該連結子会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)において、非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)と上記イ~リの行為若しくは非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについて当該連結子会社の業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。


(2)当該非上場会社の直前連結会計年度(末日)における連結総資産額、連結売上高、連結経常利益金額(※6)(※7)が、それぞれ当該上場会社の直前連結会計年度(末日)における連結総資産額、連結売上高、連結経常利益金額(※6)(※7)未満であること(※8)。

ただし、当該上場会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)に当該非上場会社(その関係会社を含む。)との間でイ~リの行為若しくは当該非上場会社との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについてその業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。

 

       

※1:非上場会社の子会社化は、1と「同等の効果をもたらす行為」とする。

※2:当該行為を行うことについて当該上場会社の業務執行を決定する機関が決定した日をいう。

※3:当該決定と同時の場合を含む。

※4:当該3年間における上記イ~リの行為などの行為時点で当該上場会社の連結子会社であったものをいう。

※5:原則として、適時開示が必要な行為をいう。

※6:連結財務諸表提出会社でない場合にあっては、「直前連結会計年度(末日)における連結総資産額、連結売上高、連結経常利益金額」とあるのは「事業年度(末日)における個別財務諸表における総資産額、売上高、経常利益金額」とする。

※7:IFRS任意適用会社である場合にあっては、「連結経常利益金額」とあるのは「親会社の所有者に帰属する当期利益金額」とする。

※8:連結会計年度(事業年度)の期間が1年未満の場合は、1年間に換算した数値により比較する。

2.会社分割による非上場会社からの事業の承継又は非上場会社からの事業の譲受け


● 同等の効果をもたらすと認められる行為を含む。(※9)

次のいずれかに該当すること。


(1)当該非上場会社が連結子会社であること。

ただし、当該連結子会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)において、非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)と上記イ~リの行為若しくは非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについて当該連結子会社の業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。
 

(2)事業の承継・譲受けの対象となった資産の額、当該対象となった部門等における売上高に相当すると認められる額、当該対象となった部門等における経常利益金額に相当すると認められる額が、それぞれ当該上場会社の直前連結会計年度(末日)における連結総資産額、連結売上高、連結経常利益金額(※6)未満であること(※7)。

ただし、当該上場会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)に当該非上場会社(その関係会社を含む。)との間でイ~リの行為若しくは当該非上場会社との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについてその業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。

 

 

 

 

 

※9:非上場会社からの事業上の固定資産の譲受けは、2と「同等の効果をもたらす行為」とする。

3.会社分割による他の者への事業の承継(5.に掲げる場合を除く。)、他の者への事業の譲渡、非上場会社との業務上の提携、第三者割当による株式の割当て


● 同等の効果をもたらすと認められる行為を含む。(※10

次のいずれかに該当すること。


(1)当該行為の当事者が連結子会社であること。

ただし、当該連結子会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)において、非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)と上記イ~リの行為若しくは非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについて当該連結子会社の業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。


(2)当該上場会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)に当該行為の当事者(その関係会社を含む。)との間でイ~リの行為若しくは当該当事者との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについてその業務執行を決定する機関が決定していないこと。


 

 

 

 


  

 

10:他の者への事業上の固定資産の譲渡、事業の休止、事業の廃止は、3と「同等の効果をもたらす行為」とする。

4.上場規程第208条第1号(合併による解散の場合の取扱い)又は第3号(株式交換、株式移転等による完全子会社化等の場合の取扱い)の適用を受けて上場する場合(新設合併又は株式移転をする場合における当事者がすべて上場会社である場合を除く。)


● 同等の効果をもたらすと認められる行為を含む。

 

1.と同様。

 

5.上場規程第208条第5号(会社分割による他の者への上場契約の承継の場合の取扱い)の適用を受けて上場する場合(吸収分割に限る。)


● 同等の効果をもたらすと認められる行為を含む。

次のいずれかに該当すること。


(1)当該非上場会社が連結子会社であること。

ただし、当該連結子会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)において、非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)と上記イ~リの行為若しくは非上場会社(連結子会社(※4)を除く。)との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについて当該連結子会社の業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。


(2)当該非上場会社の直前連結会計年度(末日)における連結総資産額、連結売上高、連結経常利益金額(※6)が、それぞれ当該上場会社からの事業の承継の対象となった資産の額、当該対象となった部門等における売上高に相当すると認められる額、当該対象となった部門等における経常利益金額に相当すると認められる額未満であること(※7)。(吸収分割の場合に限る。)

ただし、当該上場会社が、行為決定日(※2)以前3年間(※3)に当該非上場会社(その関係会社を含む。)との間でイ~リの行為若しくは当該非上場会社との共同による株式移転その他これらと同等の効果をもたらすと認められる行為(※5)を行っていないこと又は行うことについてその業務執行を決定する機関が決定していないことを要する。


 

● 過去に実施した吸収合併等(1~5の行為)に係る実質的存続性審査の結果、上記イ~リ以外で特に継続して経過をみる必要があると東証が認めた行為(例えば、商号の変更、連結子会社の異動、連結子会社への非上場会社からの事業の譲受け等)は、イ~リの行為と「同等の効果をもたらすと認められる行為」とする。


※ 上記軽微基準は、適時開示上の軽微基準とは異なるものですので注意してください。適時開示の要否については、別途、適時開示に関する説明箇所を参照してください。

(参考)実質的存続性審査に係る詳細審査の概要

上記の実質的存続性審査に係る軽微基準に該当しない場合には、さらに詳細な審査を行うこととなりますが、当該審査においては、上場会社((3)及び(4)を除き、その企業グループを含む。)に関する次に掲げる事項を総合的に勘案して、上場会社の実質的存続性の有無を確認することとしています。


(1)経営成績及び財政状態

(2)役員構成及び経営管理組織(事業所の所在地を含む。)

(3)株主構成

(4)商号又は名称

(5)その他当該行為により上場会社に大きな影響を及ぼすと認められる事項

管理番号
6862

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