お問い合わせ

お知らせ

用語集

文字サイズ

上場会社向けナビゲーションシステム​ >企業行動規範 >MBO等に係る企業行動規範に関する実務上の留意事項等

ガイドブック MBO等に係る企業行動規範に関する実務上の留意事項等

内容

  MBO等に係る遵守事項

(1)制度の概要

上場会社は、MBO・支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者による公開買付けや、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が関連する株式交換等(株式交換、株式移転、株式併合、全部取得条項付種類株式の全部の取得又は株式等売渡請求に係る承認のことをいう。以下本項目において同じ。)(当該公開買付け、株式交換等、又は当該公開買付けの実施後に予定している一連の行為により上場会社の株券等が上場廃止となる見込みがあるものに限る。)が行われる場合には、当該公開買付けや株式交換等が当該上場会社の一般株主にとって公正なものであることに関し、特別委員会からの意見の入手を行うものとするほか、必要かつ十分な適時開示を行うことが義務付けられます。

【上場規程第441条、施行規則第436条の3】


※ 「MBO」とは、公開買付者が公開買付対象者の役員である公開買付け(公開買付者が公開買付対象者の役員の依頼に基づき公開買付けを行う者であって公開買付対象者の役員と利益を共通にする者である公開買付けを含む。)のことをいいます。

【上場規程第441条】

 

※ 「支配株主」とは、親会社又は上場会社の議決権の過半数を直接若しくは間接に保有する者として施行規則で定める者(上場会社の主要株主(親会社を除く。)のうち、自己の計算において所有している上場会社の議決権と、当該主要株主の近親者並びに当該主要株主又は当該近親者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社等(会社、指定法人、組合その他これらに準ずる企業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)をいう。以下同じ。)及び当該会社等の子会社が所有している上場会社の議決権の合計が過半数を占めている場合)をいいます。

【上場規程第2条第42号の2、施行規則第3条の2】
 

※ 「その他の関係会社」とは、財表規則第8条第8項に規定するその他の関係会社のことをいいます。

【上場規程第2条第3号】
 

※ 「一般株主」とは、上場会社の株主のうち、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者(後述)及び当該公開買付け又は株式交換等に関して支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者と重要な利害関係を共通にする株主を除いた者のことをいいます。
 

※ 上場会社が、本規定に違反した場合には、公表措置、上場契約違約金の徴求、改善報告書・改善状況報告書の徴求又は特別注意銘柄への指定など所定の措置を講ずることがありますのでご留意ください。

 

 

(2)実務上の留意事項等

① MBO等に係る企業行動規範に定める手続きの実施が必要となる場合

 

【対象行為】

※ 次に掲げる事項(当該事項又は当該公開買付けの実施後に予定している一連の行為により上場会社の株券等が上場廃止となる見込みがあるものに限る。)のいずれかが行われる場合は、MBO等に係る企業行動規範に定める手続きを実施することが必要となります。

 


a.MBO
b.支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者による公開買付け

c.支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が関連する株式交換、株式移転、株式併合、全部取得条項付種類株式の全部の取得又は株式等売渡請求に係る承認等

  

 

※ いわゆる二段階買収として、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者以外の者が公開買付けを実施し、新たにこれらに該当した後、一連の取引として、当該者が関連する株式併合や株式等売渡請求に係る承認等が行われる場合は、MBO等に係る企業行動規範に定める手続きの実施対象には含まれません。

 

※ 支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が関連する「株式交換」及び「株式移転」については、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が当事会社となって行う場合が該当します

 

※ 支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が関連する「株式併合」、「全部取得条項付種類株式の全部取得」及び「株式等売渡請求」については、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者を株主として残存させる形で一般株主のスクイーズアウト手続きとして行う場合(具体的には、MBО・支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者による公開買付けの実施後にいわゆる二段階買収の二段目の手続きとして行うスクイーズアウトや、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が買収の当事者となって、公開買付けを経ずに行うスクイーズアウト)が該当します

 

※ 上記b.や上記c.には該当しないものの、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が、買収者と不応募契約を締結することや買収者に再出資すること等により、公開買付け及びその後の一般株主のスクイーズアウトの実施後も、対象会社の株主(間接的に対象会社株式を保有する場合を含む)として残存することを予定した取引を行う場合については、取引の性質や構造的な利益相反の問題の程度に応じて、これらに準ずる行為として、MBO等に係る企業行動規範に定める手続きの実施を検討することが期待されます。具体的には、例えば、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者が、一連の取引の結果、対象会社に対して直接又は間接にその他の関係会社としての影響力を維持したり、その影響力を強化したりする場合については、準ずる行為として、手続きを実施することが考えられます

 

※ 上記b.や上記c.には該当しないものの、例えば、支配株主、その他の関係会社その他施行 規則で定める者が、当事会社であるファンドに出資している場合やファンドの業務執行等を行っている場合についても、その関与の実態に照らして、これらに準ずる行為として、MBO等に係る企業行動規範に定める手続きを実施することが期待されます

 

※ 上記c.には該当しないものの、公開買付けを経ずに、対象会社の役員(当該役員と利益を共通にする者を含む)を株主として残存させる形で、株式併合等により一般株主のスクイーズアウトを実施する場合についても、これに準ずる行為として、MBO等に係る企業行動規範に定める手続きを実施することが期待されます

 

【支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者】

 「支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者」とは、次の(a)~(h)のいずれかに該当する者をいいます。

(a)支配株主

(b)その他の関係会社

(c)上場会社と同一の親会社をもつ会社等(当該上場会社及びその子会社を除く。)

(d)上場会社の親会社の役員及びその近親者

(e)上場会社の支配株主(当該上場会社の親会社を除く。)の近親者

(f)上場会社の支配株主(当該上場会社の親会社を除く。)及び前号に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社等及び当該会社等の子会社(当該上場会社及びその子会社を除く。)

(g)その他の関係会社の親会社

(h)その他の関係会社の子会社


支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者の範囲

  

② MBO等に係る企業行動規範に定める手続きの内容

 

a.特別委員会から、当該公開買付けや株式交換等が一般株主にとって公正なものであることに関する意見の入手

b.必要かつ十分な適時開示

 

 

【特別委員会】

※ 「特別委員会」とは、当該公開買付けの公開買付者や、株式交換等に関連する支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者からの独立性並びに当該公開買付けや当該株式交換等の成否からの独立性を有する者で構成される委員会をいいます。

【施行規則第436条の3第1項】
 

※ 公開買付者や支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者からの独立性については、独立性基準等も踏まえつつ、個別の事案ごとの具体的な状況に応じて、実質的に判断することが求められます。また、公開買付けや株式交換等の成否からの独立性については、特別委員会の委員の報酬体系や買収の関係者との関係性(買収者に対して自ら買収資金の融資その他の資金提供を行う金融機関の出身者等)も踏まえつつ、個別の事案ごとの具体的な状況に応じて、実質的に判断することが求められます。

 

※ 企業行動規範においては、特別委員会の委員構成(属性・専門性)や権限等について、一律の定めはおいておりませんが、経済産業省「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「公正M&A指針」という。)も踏まえ、特別委員会が、一般株主の利益を図る観点から当該公開買付けや株式交換等の公正性について十分に検討・判断することができるよう、個別の状況に応じた適切な対応を行うことが望まれます。

 

※ ただし、企業の再生局面での買収など、緊急性が極めて高いものとして当取引所が認める場合には、特別委員会の設置は必須でないものとし、独立社外取締役個人など、買収者からの独立性及び取引の成否からの独立性を有する者による意見を取得することでも足りることとします。

【上場規程第441条第1項ただし書、施行規則第436条の3第2項】

  

【一般株主にとって公正なものであることに関する意見の入手】

○ 意見の内容

※ 当該公開買付け又は株式交換等(以下、「当該取引」といいます。)が、「一般株主にとって公正なものであることに関する意見」を取得することが必要となります。

※ 取引の公正性を判断するに際しては、「企業価値の増加分が一般株主に公正に分配されるような取引になっているかどうか」が基本的な目線となります。当該目線を踏まえ、下表の内容欄に掲げる検討の観点から、取引が「一般株主にとって公正なものであること」に関して意見することが求められます(ただし、必ずしも企業価値の増加分やそのうち一般株主が享受すべき部分の価値について、定量的な算出・説明を求めるものではありません。)。

※ なお、意見においては、下表の内容欄に掲げる個別の検討の観点に関する特別委員会の具体的な検討内容や最終的な判断の根拠を含めるものとします。 


 項目  検討の観点
 取引の是非  当該取引が、上場会社の企業価値向上に資するかどうか
 取引条件の公正性  下記に掲げる観点等を踏まえ、買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類等が公正なものとなっているかどうか
 ○ 公開買付け者等との協議・交渉の過程
※ 公開買付者等と時系列での協議の経過(特別委員会の関与の内容を含む)に加えて、特別委員会における協議・交渉の方針や主要な論点が存在する場合にはその内容、当初の協議・交渉方針から変更が生じた場合にはその理由(破談リスクに関する検討内容等を含む)等を踏まえ、協議・交渉が企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して行われているかどうかについて検討することが求められます。
 
 ○ 株式価値算定内容およびその前提としてた財務予測・前提条件等の合理性
※ 取引条件の公正性を判断するにあたり基礎とした株式価値算定の内容及びその前提とされた財務予測・前提条件等が合理的なものとなっているかどうかについて検討することが求められます。
※ 特に財務予測に利益・FCFの大幅な増減を見込んでいる場合や当該M&A以前に公表されていた財務予測と大きく異なる財務予測を用いる場合、割引率や継続価値などに関して重要な前提条件が置かれている場合には、その合理性について慎重に検討することが求められます。
 
 ○ 過去の市場株価・同種案件に対するプレミアム水準の妥当性
※ 過去の市場や同種案件と比較してプレミアムの水準が妥当なものとなっているかどうかについて検討することが求められます。
※ 買収の検討と近接した時期にネガティブ情報を公表している場合には、当該ネガティブ情報の合理性や当該時期に当該取引を行うことを選択した背景・理由等を確認のうえ、それらの内容も踏まえて妥当性について検討することが求められます。
 ○ その他(買収者による過去の株式取得価格など)
 手続の公正性  取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているかどうか
※ 個別の取引における具体的状況(構造的な利益相反や情報の非対称性の問題の程度、対象会社の状況など)に応じて、いかなる措置をどの程度講じるべきか、全体として取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているかについて検討することが求められます。
※ 公正M&A指針で例示されている以下の公正性担保措置を実施している場合には、その具体的な実施状況について説明することが求められます。
※  また、外部専門家の専門的助言等、積極的なマーケット・チェック、間接的なマーケット・チェック、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定又は強圧性排除のいずれかを公正性担保措置として講じない場合には、その理由や、当該公正性担保措置を講じなくても全体として取引条件の公正さが手続的に担保されているか(これを補うために他の公正性担保措置を実施している場合にはその内容を含む)について説明することが求められます。
 ○ 特別委員会の設置
 (設置の時期、委員構成(属性・専門性)、権限(交渉への関与、アドバイザー選任)、委員の報酬など)
 
 ○ 外部専門家の専門的助言等
● 法務・財務アドバイザーの選任
● 第三者算定機関からの株式価値算定書やフェアネス・オピニオンの取得
 (助言の内容、法務・財務アドバイザーや第三者算定機関の独立性など)
 
 ○ マーケット・チェック
● 積極的なマーケット・チェック
● 関節的なマーケット・チェック
 (マーケット・チェックの方法、買付者との取引保護条項など)
 
 ○ マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定
 ○ 強圧性排除
 ○ 情報開示
 
 


※ 複数の行為を伴う取引等(例えば、支配株主、その他の関係会社その他施行規則で定める者による公開買付けの実施後に、いわゆる二段階買収の二段目の手続きとして、上場会社が株式併合や株式等売渡請求に係る承認等による一般株主のスクイーズアウトを行うことを予定している場合など)については、一連の行為を一体のものとみなして「意見の入手」を行うことで足りるものとします。ただし、一連の行為とみなすことが適当でない場合にあっては、個々の行為に係る具体的な内容等を決定する際に、個別に「意見の入手」を行うことが求められます。


 意見の入手の時期

※ 通常、当該公開買付けに関する意見の表明等又は株式交換等を行うことについて決定する日までに「意見の入手」を行うことが求められます。ただし、決定の際に当該公開買付けに関する意見の表明等又は株式交換等に係る条件の全部又は一部が決まっていないため、適切な意見の形成が困難と認められる事情がある場合については、後日の条件決定の際に「意見の入手」を行うことができます(この場合、当初の適時開示において、意見の入手が未了である旨及び今後の見通しについて言及いただくことが必要となります。)。

  

○ 適時開示に関する取扱い

※ 入手した意見書については、当該公開買付けに関する意見の表明等又は株式交換等に関する適時開示資料に添付する形で開示することが必要となります(原則として、意見書全文の開示を求めるものです。)。

※ ただし、意見書において、事業上の機密情報が含まれている場合は、当該箇所について合理的な範囲で非開示とすることで差支えありません。

【上場規程第441条第2項】

 

※ 個々の開示すべき事実の実務上の取扱い等は、「第2編 会社情報の適時開示実務上の取扱い」を参照してください。

 

○ その他

※ 東証又は自主規制法人は、必要に応じて、上場会社が当該公開買付けに関する意見の表明等又は株式交換等に関する適時開示を行った際などに、企業行動規範に基づく手続きの履行状況を証明する書類の提出等を求めることがあります。

管理番号
8686

参考になりましたか?