お問い合わせ

お知らせ

用語集

文字サイズ

上場会社向けナビゲーションシステム​ >企業行動規範 >【買収への対応方針の導入等に係る上場制度の概要】注意事項

ガイドブック詳細 【買収への対応方針の導入等に係る上場制度の概要】注意事項

内容

(1)事前相談の必要性

東証は、上場会社が導入する買収への対応方針に関して、遵守事項に反すると認める旨の公表措置を講ずることや当該上場会社の株券の上場を廃止する場合があります。こうした措置を講ずるか否かの判断にあたっては、個別の事案ごとの内容及び開示の状況を総合的に勘案することとしています。これは、買収への対応方針に関しては今後の実務の一層の進展が予想され、個別の事案ごとの内容や開示の状況に応じた柔軟な対応を行うことが必要となると考えられるためです。

このような柔軟な対応を円滑に実施できるよう、買収への対応方針を導入することの決定・開示に先立って、十分な時間的余裕を持って必ず東証まで事前相談を行うようにしてください。上場会社が事前相談を怠った結果、東証において十分な検討期間が確保できない場合には、買収への対応方針の導入を延期するようお願いする場合もあります。なお、こうした事前相談は、買収への対応方針を新たに導入する場合だけではなく、既に導入した買収への対応方針の内容を変更する場合についても同様に行うようにしてください。

事前相談は、開示予定の資料をあらかじめ提示したうえで行うこととしています。上場会社が買収への対応方針の導入の決定・開示を行う場合には、公表予定日の3週間前までに(いわゆる有事導入において、時間的余裕がない場合も、準備が整い次第速やかに)、必ず東証の上場会社担当者まで開示資料(案)をメールにてご送付ください。ただし、前例のないスキームを検討されている場合や遵守事項などの関係で懸念事項がある場合などには、さらに十分な時間的余裕を持って事前相談を行うようにしてください。



(2)開示事項及び開示・記載上の注意

買収への対応方針の導入・買収への対抗措置の発動に伴う株式又は新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした場合は、通常の開示事項に加え、買収への対応方針導入の目的や、買収への対抗措置の発動を決定するに至った経緯及び理由などを記載することが必要となります。本項目の詳細は、「買収への対応方針の導入・買収への対抗措置発動に伴う株式又は新株予約権を引き受ける者の募集の場合」をご参照ください。



(3)買収への対応方針に関するその他の注意事項

事前相談においては、遵守事項を踏まえ、買収への対応方針の類型ごとに以下の事項について判断に時間を要すると考えています。ただし、株主総会決議を経て導入する場合など、買収への対応方針の適正さを高める特段の事情がある場合には、それを考慮します。


① ライツプラン


○ 株主の総体的意思

買収への対抗措置の廃止又は不発動の判断にあたって株主の意思(個々の株主の意思ではなく、株主総会決議によって示されるような総体的な株主意思)が反映される仕組みになっていることは、買収への対応方針の適切な運用の観点から非常に重要です。

そこで、事前相談にあたっては、ライツプランがデッドハンド型に該当しないかどうかに加え、取締役の選解任に関する株主総会の決議要件や取締役の任期などの確認を通じて、1回の株主総会で取締役の過半数を支配することが困難となっていないか、開示資料等により確認します。


○ 発動等の判断の枠組み

発動等の判断については、経営者の恣意的な判断に依存する不透明なものでないことが求められます。ライツプランの発動及び廃止又は不発動の実質的な判断主体(独立委員会等の勧告に基づいて取締役会が決定する場合における当該独立委員会等を含みます。)の判断の公正性・中立性は、投資者にとって非常に重要な情報です。

そこで、当該判断主体について、経営者からの独立性、専門性(企業価値に関する知識の不足を補うための専門家の関与や独立調査権限等を含みます。)、会社に対する責任(たとえば委員会における取締役・監査役と社外有識者との構成割合など)といった事項が、開示資料に十分に記載されているかについて確認します。また、判断主体の公正性・中立性が上記の手続によって十分に確認できない場合には、客観的な発動及び廃止又は不発動の条件や判断基準が開示資料に記載されているかについて、確認します。


○ 流通市場に与える影響

買収への対応方針は、株式の価格形成を著しく不安定にする等、投資者に不測の損害を与える要因を含まないことが求められます。

ライツプランの発動の決定がなされ、株式の割当を受けるべき株主が確定した後においてもなお発動が中止される可能性がある場合には、割当対象株主が確定した後の株式の価格形成が不安定になるおそれがありますが、買収者との対等な交渉を実現するというライツプランの目的に照らすと、発動の決定後に買収が中止された場合や買付条件の引上げにより両社が合意に至った場合に発動を中止できることには、企業価値・株主利益向上の観点から意義があるので、このような可能性がある場合にはその旨の開示が十分になされていることを、事前相談によって確認します。また、株価形成を不安定にするその他の要因がスキームに内在しないかどうかについても確認します。


② 事前警告(大量買付ルールの設定)

いわゆる事前警告型の買収への対応方針では、買収者が遵守すべきルール(買収者に関する情報の提供やその手続等を定めたルール)を上場会社が独自に定め、将来の買収者に対してその遵守を求める場合があります。このような買収への対応方針の開示にあたっては、当該ルールの合理性についての株主・投資者の判断に資するため、当該ルールの内容がわかりやすく開示されることが求められます。

具体的なルールの内容は、ルールの運用主体、提出情報の内容や提出等の手続、買収者が大量買付ルールを守った場合・守らなかった場合それぞれの会社の対応などであり、これらのルールの内容が開示資料にわかりやすく記載されているかについて確認するとともに、ルールの合理性(株主・投資者に対する情報提供の観点からみて過剰な情報を求めていないか、検討期間が過度に長期となるおそれはないか、ルール違反に対する対抗措置が過剰ではないか等)に関する説明が十分になされているかについて、確認します。

なお、大量買付ルールの事前警告を設定した買収への対応方針であっても、対抗措置としてライツプランに相当する措置(すなわち買収者以外の株主であることを行使又は割当の条件とする新株予約権の株主割当等)を将来行う可能性があるものについては、その態様に応じて、その旨と前記①に準拠した事項を開示することが必要となります。


③ 種類株式等の発行

種類株式又は新株予約権の発行により上場株式の株主の議決権が制限される可能性や財産権が毀損される可能性がある場合については、株主の権利の尊重が図られているかを判断する必要から、所要の審査のために十分な時間的余裕を持って東証まで事前相談を行うようにしてください。


(4)株主の権利の不当な制限に関する注意事項

買収への対応方針の導入に限らず、上場会社が企業行動を行うにあたっては、株主の権利内容又はその行使の不当な制限とならないよう配慮することが求められます。


○ 継続保有を行使条件とする新株予約権の無償割当て

株式の継続保有を行使条件とする大規模な新株予約権の株主への無償割当てについては、新株予約権無償割当てを受けた株主の株式売却行為を事実上困難にし、株式の価格形成が極めて不安定となることが想定されることなどから、株主の権利内容及びその行使が不当に制限されていると判断される可能性が高いと考えられます。


管理番号
7774

参考になりましたか?